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2007-11-01 08:42
わが目を疑う朝日の社説
杉浦正章
政治評論家
1日のテロ対策特措法の期限切れにともなう朝日新聞の社説を見てわが目を疑った。給油に関して「終了はやむを得ない」と、中見出しをとっているのである。慌てて別の朝日の記事を見たが「活動中断」で統一されている。「終了」と社説で強調した背景に作為があるかどうかは別として、明らかなる誤報である。言論で生きる論説委員が、しかも世論に圧倒的な影響力を持つ朝日新聞の社説が「終了」とやってはいけない。終了するかどうかはこれから国会が決めることであり、社説の期待値とは異なる次元の問題だからだ。
6段ぶち抜きの社説は、主見出しにあるように、イラク撤収で給油とテロ戦を見直せと言う主張で貫かれているが、基本論調は給油継続実現を何とかストップさせたいことが分かる論調である。もちろん「給油」と「防衛疑惑」を直結させての展開である。民主党など野党への影響を狙ったものだろう。しかし、数々の矛盾が露呈されている。まず「国内で正当性が揺らいでいる政策を対外的な配慮だけを理由に続けるべきではない」である。しかし新聞の世論調査に世論の動向を見ると、給油再開賛成が5割前後ある。なぜか朝日の調査だけは不支持が支持を上回っているが。支持率5割前後というのは世論動向を判断するのに十分な数字ではないか。おまけにこの論旨は、朝日が繰り返し靖国神社参拝に反対したときの論調と逆の論調になっている。朝日は「対外配慮」を最大の理由にして、首相の参拝に反対し続けてきたのではなかったか。
社説は「ビンラディンをかくまったタリバーン政権への攻撃を国際社会が支持し、日本の給油はその一環」と当時の給油を社説で容認したことを認めている。その反面アフガンの治安は「6年もたつのに」むしろ悪化していると強調している。しかしタリバーン政権の崩壊は、女性の解放問題一つとっても大変な成果だ。極めて抑圧されてきた女性が教育を受け、職場に参加できるようになったのは何故か。まがりなりにも国家が民主化したからではないか。「日本がかかわるべきテロとの戦いを整理し、何がもっとも効果的なのか考えるべきだ」と主張している。これは、まさに泥縄論議である。今そこにテロリストがいて、国際社会が協調してテロとの戦いを展開しているときに、何の代案も提示せずに、「考えるべきだ」はない。対案なしに反対を続ける民主党に似ている。
テロとの戦いは言うまでもなく、テロの再発防止のための戦いの性格を持つ。憂慮されるのは、町村官房長官が「テロとの戦いの戦列から、極めて国内的な事情で日本だけが脱落していく。日本の将来に大きな汚点を残す」と述べているとおり、まさに脱落は「テロとの戦いに敗退した最初の国」に日本をおとしめかねない側面を持つ。テロが銀座で発生してからでは遅い。一国平和主義はテロリストには通用しない。人間の学習能力が他の動物とどこが違うか。経験や知識に基づき、推理や予想するところにある。9.11をもう忘れてしまっては動物並みの学習能力となる。
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