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2007-11-19 10:19
たばこの害について
大藏雄之助
評論家
チェホフの戯曲に『煙草の害について』という1幕ものの1人芝居がある。ある男がたばこの害について縷々演説するのだが、結局この男も禁煙は続かなくて一服することになる。ことほどさようにニコチンは恐ろしい。最近の調査によると、先進国の中では日本が最も喫煙率が高く、スモーク・フリーに遠いとのことである。わが国ではたばこ産業は久しく専売(国営)であって、大蔵省直轄の税収源であった。このために政府は今も歳入が減ることを恐れて、煙害対策に熱心でない。
しかし、紙巻きたばこが肺癌のみならず、他の臓器にも影響して体力を失わせ、諸疾病の原因となることは立証されている。そのために新生児が虚弱であったり、働き盛りの人間が職場から消えたり、あるいはそうした人々の医療費が増大することなどを考慮すれば、たばこの税収は差引マイナスとなる。そのほか、非行少年の始まりがほとんど喫煙にあることを思えば、直ちにたばこ税を欧米並みに引き上げるべきである。
ヨーロッパ諸国では、たばこの値段は日本の5倍以上になっており、これが喫煙率抑制に役立っている。常習者がたばこをやめるのは、よほど精神力が強くなければ成功しないものの、たばこの値段がどんと上がれば、いやでもやめざるを得ないという人が少なくない。わが国では大麻を厳しく取り締まっている。ところがアメリカでは習慣性の点ではマリフアナの方がたばこよりも害が少ないとして、ほとんど処罰していない。
歩行者の喫煙は通行人の衣類を焦がしたりして危険であるばかりでなく、たばこをたしなまない人にとっては流れてくる煙そのものが不愉快であり、またその副流煙の悪影響は無視できない。さらに、たばこは失火の最大の原因でもある。「きょうも元気だ、たばこがうまい」というふざけた宣伝があるが、最初からたばこに接しなければ、紫煙に問うまでもなくいつも元気でいられる。
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たばこの害について
大藏雄之助 2007-11-19 10:19
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吉田 康彦 2007-11-21 07:35
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