選挙戦の近況
大統領選挙2024は、トランプの暗殺未遂事件を挟んで情勢は大きく変化している。テレビ討論会を受けて、バイデンの健康状態が問題になると、トランプの優勢に傾いた。その後、トランプ暗殺未遂事件で、トランプは奇跡的に助かると、トランプの人気は高まった。そのままの勢いで共和党大会を迎え、トランプは共和党の大統領候補指名を受けた。一方、テレビ討論会の失敗で、バイデンに対して大統領候補から退場を求める声が大きくなった。全国民主党大会(8月19日~8月22日)を間近に控えて、バイデンは大統領候補をカマラ・ハリスに譲った。テレビ討論会直前の世論調査によると、2024におけるトランプとバイデンの支持率は拮抗していた。ウェブサイト“270towin”における世論調査(polling average by state)によると、全米ではバイデン(44%)VSトランプ(45%)と拮抗している。各州の世論調査によると、勝敗を決するといわれるスイングステート(激戦州)ではトランプがバイデンを若干リードし、選挙人の数ではトランプが優位にある。アリゾナ州(Biden42% vs Trump47%)、ジョージア州(Biden41% vs Trump45%)、ミシガン州(Biden44% vs Trump44%)、ノースカロライナ州(Biden43% vs Trump46%)、ペンシルバニア州(Biden44% vs Trump47%)、ウィスコンシン州(Biden46% vs Trump47%)
トランプとバイデンのテレビ討論会
6月27日、トランプとバイデンの米国大統領選挙に向けたテレビ討論会が行われた。バイデンは討論会でしどろもどろになり、口ごもって意味不明の言葉を口にする場面さえ見られた。「完全な惨事」、「メルトダウン」とする声が民主党員の中からも漏れた。CNNの世論調査は67%がトランプの勝利とし、トランプの優勢が明らかになった。バイデンでは大統領選は戦えないと、大統領候補から降りることを促す圧力が強くなった。民主党の大口献金者は献金を控えるとバイデンに撤退を促し、民主党色が強い大手のマスコミもバイデンに撤退を促している。また、国会議員選挙を間近に控える多くの民主党議員は、これでは戦えないとバイデンの撤退を促している。しかし、バイデンは妻ジル・バイデンや長男ハンター・バイデンの後押しもあって、自ら大統領候補に留まることに固執した。しかし、全国民主党大会(8月19日~8月22日)を間近に控え、オバマ元大統領やペロシ元下院議長からも退任を説得され、バイデンは期日まで大統領職を果たすとしながら、大統領候補から退くことを表明した。カマラ・ハリスがバイデンの後継に指名され、党内で必要な数の代議員の数を得たことから民主党大会で大統領候補に指名される見通しになった。大統領選にもまして重要なのが、連邦議会の選挙である。上院議員の任期は6年で、大統領選で定数100人のうち3分の1の24議席が改選される。現在民主党議員が51人、共和党議員が49人であるが、民主党の23議席、共和党の11議席が改選の対象になる。従って、選挙で共和党の議席が過半数をとる可能性が高い。上院は人事案の承認権を持ち、共和党がDOJ(司法省)、CIA、FBI、DHS(国土安全保障省)・・・の長官を承認する権限を持つ。上院で共和党が多数派になれば、トランプ政権は人事の掌握をしやすくなる。下院議員の任期は2年で、大統領選で定数435議席の全議席が改選される。現在民主党議員が213人、共和党議員が220人、欠員2人である。下院は予算や法案を先に審議することができ、大統領を弾劾訴追する権限を持つ。また、各種小委員会の委員長は多数党から選ばれ、多数党が委員会の進行を主導する。“270towin”における世論調査(Crystal Ball 2024 House Ratings)によると、共和党が若干優位にある。トランプが大統領に選ばれ、上下両院の議会選挙で民主党が少数党になると、政治の主導を完全に共和党に奪われることになる。
陰謀論
トランプの暗殺未遂事件を巡って、ネット上では様々な情報が飛び交っている。ペンシルバニアの選挙集会で暗殺未遂事件が起きた当日、シークレットサービスの不足を国土安全保障省の捜査官で補充した。しかし、同じ日に近くのピッツバーグで行われたジル・バイデンの選挙イベントにシークレットサービスを配備したという。手薄になった警備がトランプの暗殺未遂事件に繋がったという疑いもある。また、トランプの狙撃犯は建物の屋根の上に30分くらい前に目撃され、シークレットサービスもその存在を確認していながら暗殺未遂を防げなかったという話もある。数多くの目撃証言が寄せられる中で、FBIとDHSは事件を捜査中である。米国の資産運用会社APW(オースティン・プライベート・ウェルス)がトランプのメディア会社TMTGの株1200万株を事故の前日に空売りしていたという。トランプが暗殺されていたら、数十億ドルの利益を得ていたという。APWは空売りをしたとの容疑を否定し、事務上のミスによるものだった主張している。SEC(証券取引等監視委員会)は調査中である。CA Club India によると、トランプの死はナスダックとダウを1週間暴落させ、事前に知っていたら7000億ドルから1兆ドルの利益を上げていたと推定している。ネットに飛び交う情報が偽情報あるいは誤情報である場合、「暗殺未遂が仕組まれたものではないか」という疑いは陰謀論ということで片づけられる。また、ネットに出回る情報が真実だったとしても、FBIやDHSなどの法執行機関が政治的な配慮で動き、情報が精査されずに、闇の中に葬られるということも考えられる。この場合、「暗殺未遂が仕組まれたものではないか」という疑いは陰謀論として片づけられる。ケネディ暗殺事件、911同時多発テロ、2021年1月6日の議会襲撃事件、COVIDの中国起源説、これらはいずれも真相が明らかにされないまま陰謀論として片づけられている。これらの事件が陰謀論で片づけられることに疑問を持つ人も多くいるが、真相は闇の中である。トランプの暗殺未遂事件も、真相が明かされないまま陰謀論で片づけられる公算が大きい。