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2008-01-21 08:54
民主党の大衆迎合路線に致命的欠陥
杉浦正章
政治評論家
民主党の大衆迎合路線の真価が問われる通常国会の論戦が始まるが、同路線の致命的な欠陥が見えてきた。それは、代表小沢一郎が新聞の論説を飛び越し、無視して、大衆に直接訴えかけていることだ。既に新聞各社からはネガティブな論調が出始めており、やがては民主党に冷水を浴びせることになるだろう。民主党が推し進めている「ガソリン政局、ガソリン解散」路線は、一流の政治記者なら苦々しく思っているに違いない。裏が分かるからだ。裏とは、財源というキーポイントを無視して、選挙目当ての戦術に利用していることだ。
新聞の社説も、まず読売新聞が17日の社説で「暫定税率廃止に伴う2兆6000億円の歳入不足の財源をどうするのか。道路整備を減らすのか、それとも別の財源を工面するのか。納得できる財源を示さずに、ガソリン解散だなどと唱えるのは、極めて無責任な対応だ」と書いた。朝日新聞も18日「ガソリンの暫定税率をやめるというなら、財源の穴をどう埋めるのか、歳出入の見取り図を出すべきだ。それがないままでは、国民は民主党の主張の妥当性を判断しがたい」と言い切った。21日になって産経新聞も「25円引き下げの代償はあまりに大きい。民主党がそれを考えずに政争の具に使おうとするなら、責任政党たり得ない」と厳しい。
要するに、民主党に財源の明示を求めているのである。これに対して、納得しうる回答を出せた民主党幹部はこれまでに一人も居ない。民主党の戦略は、はじめに「引き下げありき」であり、理論武装が全くなされていない。臨時国会において、新テロ法案の対案を出せと迫られて、出せず、最後になって箸にも棒にもならない対案を出したケースと酷似している。民主党に政策立案の能力が欠ける証拠だ。新聞各社の突くところは、本質であるだけに、これに対応できなければ、勝敗は見えてくる。民主党は「世論調査で支持を得ている」というが、何も知らない大衆に「ガソリンの値下げがよいか悪いか」を聞けば、「悪い」と答えることはまずない。街頭で大衆に直接呼びかけているが、狙いが違うのである。各社論説を納得させることができないままでは、やがて国民も気付く。
大衆の動向を左右するテレビも、良識的な日テレをのぞき、TBSも、テレ朝も、ガソリン引き下げをはやし立てているが、コメンテーターも、司会も、最後は新聞の論調に左右されることは、「給油新法」の例を見れば分かる。政府・自民党は、あらゆる広報手段を通じて、問題の所在を国民の間に周知徹底すると共に、野党には修正も含めた働きかけをすべきである。これを徹底的に繰り返し、その上での衆院再可決を躊躇するべきではない。政治構造に合った対応をするのが政治であり、再可決を封印することはない。責任政党であれば当然の対応である。
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