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2008-04-04 08:13
福田首相はもう“捨て身”でいくしかない
杉浦正章
政治評論家
内閣支持率の低迷は毎度のことだが、読売新聞社の調査で、福田内閣の支持率が28・0%で3割を下回ったのには愕然とした。危険水域に入ったと言うことになる。各種調査の傾向を見ても、首相の根本的な政治スタイルが否定されており、これでは参院で首相問責決議が可決されたら、与党は衆院で内閣信任決議でもしないと、政治的に持たないのではないか。どうすれば支持を回復出来るかだが、もう身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあり、の段階に入っている。
読売の調査は、内閣支持率が他社より高めに出る傾向があり、発足直後は59・1%だったが、3月は33・9%に落ち、今回の緊急調査の数字となった。政界で「標準調査」とされている時事通信の30.9%にも符合する数字である。果たしてこの支持率低迷の泥沼から首相福田康夫は脱出できるかだが 、これはよほどの転換をしないと難しい。例えば「後期高齢者医療制度」を「長寿医療制度」と呼びかえるような姑息な対応では駄目だ。年寄りは「バカにするな」と思うだけだ。年金から天引きされれば、「長寿」もできまい。世代別の支持率は、時事通信の調査では、どの世代でも支持率が不支持率を下回っていたが、70才以上だけが上回っていた。これで高齢者の支持も絶望的となる。
なぜ、支持率が落ち続けるのか。長年政局を見て来て、政権を襲う波涛は極めて公平だと思う。どの政権だから運命の神が荒波を起こすということはない。首相がその波涛にどう立ち向かうかで支持率は決まる。福田は「貧乏くじを引いた」と漏らしたが、その判断は間違いだ。福田にないのは“捨て身”の構えだ。政治スタイルは優柔不断だし、官僚重視の「後手後手路線」。国会答弁を見ても、事務当局の文書を読み上げる、事務次官に毛の生えたような答弁ばかりだ。渡部恒三が「課長の答弁だ」と形容したのももっともである。政治スタイルに「もめ事よそう」の姿勢があり、政治家としての顔が見えない。逆に顔が見えすぎたのは小泉純一郎だ。史上最も理不尽な「郵政解散・郵政選挙」も、有権者に小泉の“捨て身”を感じさせて成功した。小泉“大捨て身”の勝利だ。民主党代表・小沢一郎も、方向性はめちゃくちゃだが政治家として“捨て身”であることは確かだ。要するに、世の中何をやっても反対する者はいるし、賛成する者もいる。福田はこれまで、反対者切り捨ての姿勢がなかった。
しかし道路特定財源の一般財源化を柱とする新提案が、国民に諸手を挙げて支持されて、福田もようやく気づいたはずだ。これは福田が決めて福田が発表した初の重要政策だ。“捨て身”になって成功したのである。今後党内反対勢力に妥協などすれば、それで首相の政治生命が終わる事は間違いない。道路族と対峙すればするほど、支持率は上がる。もう「道路族に頼る」しかないかもしれない。妥協しなければしないほど、支持率は回復するのだ。要するに、福田政権は事実上の「棚ぼた政権」なのであり、長期政権などは考えずに、暫定税率の再議決は当然のことだが、あとは道路特定財源の一般財源化を実現するだけでよい、位の構えで望むべきだ。一内閣一仕事である。また、一つ成功すれば自ずと道は開けるかもしれない。
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