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2008-05-21 13:51
(連載)財政政策と金融政策は一体か分離か(2)
鈴木淑夫
元衆議院議員・鈴木政経フォーラム代表
財政政策と金融政策は充分に意志を疎通しなければならないが、一方が他方を支配してはならない。財政と金融が「一体」ではなく、「分離」だと言うのは、この事である。財政を司る政府は、国債を発行する借り手である。借り手の立場では低金利とインフレが有利である。指示権があると、金融政策をその方向に従わせようとする。そのためにインフレを招いた歴史的経験は、古今東西を問わず枚挙にいとまがない。その苦い経験から生まれた「歴史的知恵」が、「財政金融の分離」である。1951年の米国の「アコード」が有名であり、日本では1973-74年の大インフレ、1988-89年のバブルを経て、1998年の新日銀法に結実した。
財政政策と金融政策の分離が正しいとしても、財務官僚OBが日銀の正副総裁に就くべきではないとは必ずしも言えないのではないか、という意見がある。確かに財務次官が中央銀行総裁に就任した例は、他の先進国にもある。しかし彼等は、回転ドア方式で財務省高官に入っただけで、もともとは学界や民間金融界の出身である。終身雇用制の下で財務省高官にまで昇りつめた日本の財務官僚の場合は、財務省の立場と考え方としがらみが身に染みついているので、どうしても金融政策に財政政策の立場からの配慮が加わりがちになる、というのが野党の見方である。日銀の正副総裁3ポストのうちの1つは、財務省OBの「指定席」であるというのはおかしい、という「天下り反対論」も、掘り下げて行けば、この認識が基礎にある。
詳しくは<最新コメント>“今回の日銀総裁人事の決着を高く評価する”(http://www.suzuki.org)を参照されたい。(おわり)
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(連載)財政政策と金融政策は一体か分離か(1)
鈴木淑夫 2008-05-20 19:11
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鈴木淑夫 2008-05-21 13:51
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