ここに参考にすべきは、ゲームの理論のうち「TIT FOR TAT(しっぺ返し)」戦略である。詳述は避けるが、これは「非協調を選択していれば、相手が協調を選択したときには大きな利益を得、相手がたとえ非協調を選択したときでも最悪の被害はこうむらない。このため両者が協調を選択すれば利益を引き出せるのに、両者は共倒れの非協調を選択する」という「囚人のジレンマ」(国際関係の通例)を前提に、どうしたら双方に協調を選択させ得るかという戦略なのである。本戦略の研究者アクセルロッド教授は、次の「しっぺ返し」がもっとも早く協調に向かわせると主張する。(1)敵対的であるな、(2)最初に裏切るな、(3)協調と裏切りは相互主義的であれ、(4)単純にしっぺ返しを行え(あまり考えるな)。