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2008-12-11 19:34
民に出来ることは、民に
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
「言うは易く、行うは難い」というのは、ことの常だが、「民に出来ることは、民に」という話もどうやらその一つのようだ。お役人の既得権死守、前例尊重といった位置エネルギーの巨大さもさることながら、そのまわりの応援団の面々も「百万人といえども我行かん」の風情である。ただ、お忘れになっているようなのが、「民」に移行した後にも、依然としてそこにはそれによって新たな利権、というとおどろおどろしいが、新たな市場が成立する、ということだ。その市場の成長力がどれほどのものかは、これまでの民営化の一・二の実例を見れば解ることで、そこから生まれる新しい経済活力を活用しよう、となぜ頭を切り替えることができないのか。やはり乗り慣れた泥舟を漕いでいる方が、新造船よりも乗り心地が良いということなのだろう。
迷惑するのはもちろん国民であって、質量ともに劣悪なサービスを押し付けられ、新しい便益は百年待たねば享受できない。少数の既得権益を擁護するパワーは結束するが、それによって迷惑する方は迷惑の仕方がさまざまなだけに拡散してしまって、声や力になってこない。その意味で民間シンクタンク「構想日本」が取り組んでいる「事業仕分け」、すなわちお役所のやっている事業のうち、必要なものと、こんなものいらない、という振り分けの作業には、大きな期待がかけられる。この作業のユニークな点は、要・不要の判定を密室の中のお役所委せにしないで、議論を公開しつつ結論を出す、という点にある。始められてからもう8年になるが、なぜか余り話題になることが少ない。10月31日には自民党「無駄撲滅プロジェクトチーム」と共同で、財務省の棚卸しを行った。河野太郎座長のもとで8事業11兆円が対象になったが、なかなか面白かった。http://www.kosonippon.org/project/list.php?m_category_cd=16を覗いてみられることをお勧めする。
21世紀の新しい日本のあり方については、評論家、学者先生(御用学者を含む)をはじめ、さまざまな議論がなされている。精神論は(このブログを含め)簡単だが、こうした地道な努力が重ねられてはじめて、空中戦を離れて地上戦に持ち込める。規制緩和議論が、空中戦の域を出ず、どんな馬鹿げた規制がどれほどまかり通っているかさえ、全貌は明らかにならなかったのは、そこに大きな理由があった。自民党プロジェクトチームがさらに中央省庁を対象に類似の企画を続行することを期待するとともに、「構想日本」の健闘に期待したい。
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民に出来ることは、民に
入山 映 2008-12-11 19:34
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