そのようなことを考えさせてくれる文章に出くわした。米国の国際問題の専門誌『Foreign Policy』(ウェブ版)に4月21日付で掲載されているスティーヴン・ ウォルト(Stephen M. Walt)ハーバード大教授の"Over-achievers and Under-achievers"という論文である。いうまでもなくウォルトは「脅威の均衡(Balance of Threat)」理論で著名な現実主義に立つ論客である。タイトルにある"Over-achievers"と"Under-achievers"は、それぞれ国力に比して予想外の影響力を持つ国と国力に比して意外に影響力が少ない国を指す。つまりウォルツは、国力と国際的影響力の相関性を問うているのだ。"Over-achievers"と"Under-achievers"は、いずれも国力と国際的影響力の一般的な相関性---国力が大きい国ほど国際的影響力がある---から外れた存在と見なされる。