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2009-08-20 09:39
(連載)ミクロネシア3国の沿岸警備能力強化を支援する意義(2)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
日米豪とミクロネシア3国との海洋秩序維持に関する協力関係構築には、マラッカ海峡における取り組みが参考になるはずである。マラッカ海峡は周知の通り海賊の巣窟であったが、これに対処することを目的として、沿岸各国に加えて日本などの関係国が枠組み作りのために話し合いを重ね、2004年11月には、シンガポールに常設の情報共有センター(ISC)を設立することを柱とする協定の作成・合意に至った。
その協定では、海上犯罪の取締能力が不足している国々への能力開発支援なども謳われており、今回のミクロネシア3国の場合は、ちょうどそのような状況である。もちろん、海賊対策が焦眉の課題であったマラッカ海峡と、開けた海であるミクロネシア海域では、危険性・緊急性に格段の違いがあるということは言える。
マラッカ海峡の安全航行に関しては、海峡の利用者が自主的に資金を拠出する「マラッカ・シンガポール海峡航行援助施設基金」が、2008年4月に創設されている。従来、海洋における安全航行に関しては、沿岸国に依存するという構造であったが、同基金は、海洋の利用者が問題意識を共有し、海洋環境の保全、航行安全の確保などといった海洋管理を、沿岸国とともに進めるというコンセプトであり、画期的なものである。ミクロネシア3国の場合も、同様な趣旨の基金の設立・拡充がなされてしかるべきであろう。
ただ、一つ指摘すべきは、ミクロネシア3国の海上保安能力支援も、「マラッカ・シンガポール海峡航行援助施設基金」もそうだが、日本が国として積極的にイニシアティヴをとることが望まれる。海洋基本法では、政府が国際社会における役割を積極的に果たすよう定められている。海洋秩序の維持に貢献することは、日本の国家的海洋戦略の一環としてなされるべきであり、そのことにより日本の海洋国家としてのアイデンティティが世界に闡明され、海洋を通した外交・安保政策に厚みをもたらしてくれるはずである。(おわり)
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