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2010-03-29 03:15
(連載)急速に支持を失うオバマ大統領(7)
中岡 望
ジャーナリスト、国際基督教大非常勤講師
ヨーロッパとの関係も思ったほど修復されていない。それにつれてヨーロッパのオバマ熱も急速に冷えつつある。オバマ大統領はベルリンの壁崩壊の記念式典に出席せず、また5月に予定されているEUとの定期会談に欠席すると伝えられている。イラン政策ではドイツとの不協和音が強くなっている。パレスチナ問題はイスラエルに振り回され、出番さえなくなっている。付け加えれば、普天間基地問題を見ている限り、オバマ政権には明確な対日政策がないのではないかという印象である。2年目のオバマ外交は中間選挙を控え、さらに後退する懸念さえある。
11月の中間選挙はオバマ政権にとって決定的な意味を持ってくるだろう。下院は全員改選で、上院は民主党18、共和党18名が改選である。民主党が下院で過半数を割ることは考えられないが、問題は上院である。ある選挙専門家は「今、選挙をすれば上院で共和党が議席を増やし、過半数に近づく可能性がある」と指摘する。すでにマサチューセッツ州予備選挙の敗北で民主党は60議席を割っている。共和党が中間選挙で議席を増やすことは間違いない。そうなれば民主党は上院で法案を成立させることが極めて厳しくなる。しかも共和党は党派性を全面に出してオバマ政権に挑む姿勢を強めている。
医療保険制度改革を含め、オバマ政権にとって重要法案の成立がことごとく阻止される事態になれば、オバマ政権は窮地に追い込まれるだろう。そうした事態を避けるためには、中間選挙で再び勝利するしかない。もし大きく後退することになれれば、オバマ大統領はカーター大統領の二の舞いになり、一期限りの大統領になる可能性も出てくる。2年目にして早くもオバマ大統領は最大の試練に直面している。(おわり)
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