中東だけが問題ではない。ケーガン氏は同じ論文で「ロシアや中国との対話路線は、NATO諸国、日本、オーストラリア、韓国、フィリピン、インドとの同盟関係の比重を低下させてしまう」と辛辣に論評している。昨年11月にオバマ氏が中国を訪問した際には、人権問題を取り上げなかった。“Nuclear Showdown: North Korea Takes on the World”の著者であるゴードン・G・チャン氏は「北京の冷徹で実利本位の指導者達は、我々が人権問題で強く出なかったことは弱さの象徴だと受け止めている。我々が弱いと思われてしまえば、彼らが協調する理由はなくなる。よって、人権の普及はアメリカの安全保障につながる」と述べている。ロシアに関して『ワシントン・ポスト』紙のチャールズ・クローサマー論説員は「旧ソ連及び東ヨーロッパ諸国でのオバマ氏の宥和政策は、クレムリンがこの地域を正当な『勢力範囲』であると信じている現状では、非生産的だ」と主張する(つづく)