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2011-02-17 15:58
(連載)チュニジア、エジプト政変のうねりの意味するもの(2)
水口 章
敬愛大学国際学部教授
また、バーレーンは2002年の憲法改正(首長制から王政に変え、二院制議会を設立)の記念の日である2月14日に、若者たちのグループや人権活動家などがソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)などを通してデモを呼びかけている。さらに、バーレーンはスンニ派が統治しているが、人口の70%はシーア派であり、その居住地域で2月13日、14日と抗議活動参加者と治安関係者が衝突する事件が発生している。
現在までの報道から拾うと、中東地域において、チュニジア、エジプトに触発されたと思われる抗議活動が行われたのは、アルジェリア、イエメン、ヨルダン、スーダン、サウジアラビア、イラク、パレスチナにバーレーンと、少なくとも7か国1地域となった。
これらの国・地域は、いずれも中東地域とはいえ、文化的意味体系(家族観、死生観、歴史観など)や生活維持体系(政治制度、経済制度、社会事情など)が全く同じというわけではなく、人々は異なる社会空間の中で暮らしを営んでいる。しかし、SNS、携帯電話、衛星テレビなどで情報、映像を共有し、コミュニケーションをもつことで、現状を変えるために行動している姿への共感が広がり、保守的政治体制に変革を迫り始めている。
こうした社会空間の変化は、これらのツールに子供のころから慣れ親しんできた若者層(デジタル世代、ネット世代)が中心的アクターとなり、保守的体質を破るものとして、民主主義と自由化を求める方向へと進んでいるかに見える。このうねりに乗る人々と、それぞれの社会空間に厳然として存在する既得権益層との間に生じる摩擦の現れ方は、やはり、各社会空間の特性によって異なるが、うねりは世界空間の潮流へと変化しつつある。(おわり)
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(連載)チュニジア、エジプト政変のうねりの意味するもの(1)
水口 章 2011-02-16 18:19
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(連載)チュニジア、エジプト政変のうねりの意味するもの(2)
水口 章 2011-02-17 15:58
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