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2012-06-19 10:36
(連載)アジア太平洋との連携強化を目指す中南米(2)
角田 勝彦
団体役員
「太平洋同盟(AP)」が注目される原因の一つは、その規模が大きいことである。EUとNAFTAに次ぐ南米南部共同市場(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ+ベネズエラ)は人口2.5億人、GDP(2010年)2.5兆ドルであるが、太平洋同盟は人口2.1億人、GDP(2010年)1.7兆ドルであまり遜色ない。輸出総額は中南米全体の55%と前者の2倍近くである。
第2は統合計画に真剣さが見られることである。今回の加盟国は既に互いが自由貿易協定を締結しているという利点を有して始動している。本同盟は商品、サービス、投資や人の自由な往来を目指しており、貿易については2012年末までに加盟国間における全ての輸入関税及び原産地規制の撤廃を目指すことで合意している。南米南部共同市場で通商政策の共通化が進まず、アルゼンチンが保護主義的姿勢を強めているのと対比される(昨年後半から景気が失速したブラジルも一部の輸入車に対する実質増税などを行った)。
第3は本同盟が地の利を生かしアジアとの関係強化を重視する点である。南米南部共同市場は大西洋を隔てたEUとの自由貿易協定を模索してきたが、本同盟は高成長が見込まれるアジアを目指すのである。可能性及び海運の重要性を考えるとき、アジアの海外投資などが本同盟に軸足を移す可能性はあろう。ブラジルなどの重要性は大きく、日本企業の間では南米南部共同市場との自由貿易協定を望む声は根強いが、チリとペルーは環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加国でメキシコは日本と同じく」参加に向けた調整を進めている。
太平洋同盟の将来は有望である。米国の著名な中南米評論家オッペンハイマー氏も「新たな太平洋同盟にはチャンスがあるかも知れない」との論評を行った。もちろん諸統合のいずれをより重視するということではない。しかも経済は民間主体の活動である。政府は中南米全体との関係強化のため今後とも全方面に目を配るべきだろう。(おわり)
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(連載)アジア太平洋との連携強化を目指す中南米(1)
角田 勝彦 2012-06-18 17:55
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角田 勝彦 2012-06-19 10:36
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