今回の大統領選挙は予想に反して、政策や哲学を巡る論議よりも、人物が重視された点に特徴がある。オバマ大統領が展開したのはロムニー候補のイメージを貶めるようなネガテフィブ・キャンペーンであり、ロムニー候補も大量の資金を投入して同様なオバマ攻撃に終始した。オバマ大統領は、国民に自分を選ぶのか、ロムニー候補を選ぶのかを迫ったのである。ニューヨーク・タイムズ紙が行った出口調査の中に、「どちらの候補が自分の様な人々を気にしていると思うか(care about people like me)」という設問がある。これに対して、オバマ大統領がより大きな共感性を持っていると答えた有権者は82%に達しているが、ロムニー候補と答えたのはわずか17%に過ぎなかった。多くの有権者は、オバマ大統領に親近感を抱いていたといえる。