国防政策の中枢はこのように肯定的な主張だったが、格闘戦の結果がセンセーショナルに取り上げられるようになったのは、ジャーナリストのデービッド・アックス氏が運営する”War in Boring”というブログに記載されたF35のテスト・パイロットの匿名の証言のせいであった。それによると「F35が『クリーン』な状態ながら、F16の方は両翼に燃料タンクを追加して戦ったという条件から、この機の機動性には疑問がある。またパイロットの情報分析のために設計されたヘルメットが大き過ぎて、格闘戦の際に頭を動かすことが困難だ」とのことである。よって、そのパイロットは「F35は第4世代の戦闘機より劣る」と評価している。実際にF35の重量は、F15でも地上攻撃能力強化のために通常の機種よりペイロードと航続距離を伸ばしたF15Eストライク・イーグルとほぼ同じである。しかし小さな両翼とエンジンのアフターバーナー出力の弱さも相まって、F35の機動性はストライク・イーグルよりもはるかに劣る。さらに『アビエーション・ウィーク』誌のビル・スウィートマン上級国防編集員は「F35がステルス性でF22より優れている」というホステージ大将の主張に反論している。すなわち「航空力学的にもF22の方がF35より電波の反射が少ない。またF35は主として輸出用の製品である。制空の他にもF22の方がスピードとミサイル搭載量が優れているので、DEAD(敵防空網破壊)作戦利用でも優位にある」ということが根拠である。