中国との商業上の合意は物議を醸しているが、それに評価を下すにはイギリスが特にヨーロッパとアジアの間で自国の立場をどう見ているかを理解する必要がある。今年の10月に英国王立国際問題研究所は『イギリスとヨーロッパと世界』(“Britain, Europe and the World: Rethinking the UK’s Circles of Influence”)と題する報告書を発行し、イギリス外交で3つの課題を挙げている。それはまずグローバル化による経済競争の激化、次にロシアや中国との地政学的競合から中東と全世界で台頭するイスラム過激派といった脅威の多様化、そして国連、国際金融機関、NATO、EUといった国際機関が時代に合わなくなったことによる構造改革である。これらの課題に鑑みて、その報告書ではイギリスは米中のパワー・バランスの動向に適応してゆかねばならないと記している。そこでイギリスがどのように適応しているのかを見てゆく必要がある。