ASEAN事務局作成の『アセアン統合レポート』は、『AECブループリント2015』の評価と今後の課題、『AECブループリント2025』の解説を含んでいる。『アセアン・サービス統合レポート』はASEAN事務局と世界銀行(本部ワシントンDC)の共同レポートである。アセアン諸国が製造業の成長を導く政策は積極的に採ってきたものの、サービス分野への政策は相対的に少なくこの分野の成長が遅れていることが繰り返し指摘されてきたことへの対応策を提案したといえそうである。国際価値連鎖(global value chain)を図解し、付加価値の生成過程が解説されていることが目を引く。アセアン企業のグローバル展開のための指南書のような様相を呈している。技術革新や新製品の開発、知的財産の保護が今後進むかどうか、見守ることになる。
リーフレット『一目でわかるASEAN経済共同体』(ASEAN Economic Community at a Glance)の作成には、欧州連合(EU)が協力しており、EUのアセアンや東アジアへの関心が高まっていることが読み取れる。実際、2013年、2014年のアセアンへのFDIは、EUからがトップであり、アセアン諸国の域内投資がそれに続いていて、アセアンの先発国企業が後発国へのFDIを増やしている。来年以降、競争が激しくなる局面が増えるのだろうか。(おわり)