平成26年のとある新春放談の機会に、「理念として民主主義と議会制民主主義体制:ギャップを如何に埋めるか?」という課題を提起した。その後、成蹊大学で勉学した小生のゼミ生からの依頼で、この放談を彼らが毎年発刊している「ゆめ吉クラブ」へ掲載したら、彼らとその多くの友人たちから、諸々のコメントを頂いた。海外では、米国でトランプ大統領政権が誕生し、「アメリカファースト」のスローガンの下で、それまでの民主、共和両党政権が掲げてきた国内外に開かれた政治経済社会政策に逆行する大統領宣言がTPP協定やパリ協定からの離脱、移民・難民受け入れ政策の制限・転換を含めて次々に打ち出されて、米国型民主主義を信奉してきた多くの国内外の人々にとって、Quo Vadis USA (米国は何処へ行くのか) と疑念・懸念を抱かせた。同様に、一昨年から昨年にかけて多くのEU諸国では国会、地方選挙が実施されて、EUが従来掲げてきた政治理念である国内外に開かれた政治経済社会体制への統合過程を危ぶむような政党が一部急進的な国民の支持を得て台頭してきた。さらに、排他的な難民政策をとるハンガリーや民主主義体制の根幹をなす三権分立原則を否定する強権的な国内政策をとるポーランドに見るような加盟国もでてきた。これら先進諸億における一連の政治的反応は、一般市民、特にグローバル競争の下で置き去りにされてきた国民大衆の既成政党、既得権集団への抵抗・反対運動の表れであり、2015年秋の国連総会が採択した「持続可能な開発目標=SDGs」が目指す、Leaving no one behindこそ、今やすべての国のすべての国民各層が追求すべき原理原則であろう。