いずれにせよ民主党が下院を制したとはいえ、オルタナ右翼の影響力は共和党と議会には残る。こうした観点からウィリアム・クリストル氏はトランプ氏が中間選挙後にはさらに過激で分断的になり、政権再編によってより忠誠度の高い閣僚を登用するようになるとの警告を繰り返している。クリストル氏はジョナサン・ラスト氏が『ウィークリー・スタンダード』誌に11月9日付けで寄稿した”Trump is Waging War on the GOP. He’s Winning”という論文に言及し、「トランプ共和党勢は毛沢東思想さながらに自分達の党の支配が優先で、中国やロシアを相手にした戦略的競合などは二の次だ」と論評している。彼らは上院での過半数こそ維持したものの下院では敗れている。これでは立法能力の向上にはつながらない。しかしラスト氏によれば、トランプ共和党政治家はリベラル派ではなく従来の共和党政治家に戦いを挑んでいるということだ。トランプ氏の言動を顧みれば、こうした分析はあながち的外れとは言えない。トランプ氏は自らのスタッフには彼自身への個人的忠誠を要求している。また、中間選挙は自分達の勝利だとも言っている。これが党内抗争についてなら、意味が通じる。こうした見方に立てば、トランプ共和党政治家は反トランプ共和党候補が民主党候補に敗れても気にも留めないということになる。