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2019-09-08 21:48
(連載2)中国の現代化に必要な平和な国際環境
韓 前偉
留学生
第三に、2002年以降になって中国共産党が提起した「20年戦略機会期」や「国内・国際の2つの大局を統一的に計画する」などの思想は、上記の観点に関する新たな試みと見ることができる。これらの思想はいずれも国内の発展を推進するという観点から国際平和を観察し、維持することを強調している。2011年の中国のGDPは日本を抜き、世界第二の経済体となったが、それより遡ること9年、中国共産党は今世紀の初めに自国の経済成長について戦略的な目標を示した。中国共産党は、第16回党大会で、2000-2020年が中国の発展に大きな役割を果たす重要な戦略的機会になるだろうと判断したのである。
また、「国内・国際の2つの大局を統一的に計画する」とする重要な思想も提示した。2006年8月、胡錦濤は中央外事工作会議で、「中国外交政策の目指すところは、国内の改革開放と社会主義現代化建設のために努力し、他方で良好な国際環境と有利な外部条件を作ることにある」と述べた。すなわち「二つの大局」思想の基本的な考えを言明し、「わが国の国内経済と外交関係はますます発展し、国内の成長は世界の平和と発展から離れられなくなった」ことを強調したのである。事実、この10年間、中国は有利な平和環境を作ることによって、国際的な自由貿易体制とアメリカのイスラム世界への介入戦略などの国際的な機会を十分に活用し、大きな成長を遂げた。この期間に中国が蓄えた経済力と有利な国際環境によって、その後の中国は多角的な発展と様々な戦略的リスクに対応することができるようになったのである。
最後に、2012年の中国共産党第18回大会が「二つの百年目標」を明確に打ち出したことに言及したい。このとき、習近平は、民族復興を実現する「中国之夢」と言う政治スローガンを掲げたのは有名な話である。そして国家主席のこの号令に基づいて、中国共産党は、歴史的な民族復興という高度な目標に向けて邁進し、国際平和の維持と実現のために中国が果たす役割を国際社会に発信し行動してきた。そして、最終的には、我が国は高度な現代化を実現したのである。2013年1月、習近平は中央政治局の第三回集団学習を主宰した際に、「われわれの政治目標を実現するには、平和国際環境の構築が不可欠である。平和がなければ、中国も世界も順調に発展することはできないからだ」と指摘したことを受け、中国政府は平和国際環境実現に貢献することに重点を置いて人民解放軍の現代化に絶えず注力してきた。
とはいえ、中国政府が、依然として、大国間関係や地域紛争の問題などに配慮して、大きな戦略的自抑を行っていることは明らかだ。このように自制的な行動を厳守し続け、中国の現代化のために引き続き平和な国際環境を作ろうという戦略的取り組みを行っているのが我が国の現状である。目下、関連地域と大国関係からの戦略的リスク及び海外勢力の浸透、妨害などの問題は影のように変化している。そして、中国は、発展過程で累積する各種のリスクを解消し、効果的に自身の発展転換問題を調整しなければならない状況だ。中国としては、挑戦が多ければ多いほど、情勢が混乱すればするほど、自国の戦略的決定力を維持し、戦略的目標体系の計画と管理をしっかりと行い、戦略上の錯誤や判断ミスとを回避し、国際平和環境を形作る戦略的な能力を引き続き、強化する必要があると考えているのである。(おわり)
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