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2020-09-03 20:40
(連載1)チェコ代表団の台湾訪問が意味すること
山田 禎介
国際問題ジャーナリスト
トランプ政権が仲介した、米欧と中東世界では画期的なイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)との国交正常化への動きで、トランプ大統領の娘婿でユダヤ系のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問が大きな役割を果たしていたのは、イスラエルの代表団がクシュナー上級顧問らとともに8月31日、イスラエルを出発し、UAEの首都アブダビに到着したことからも確認できる。これはトランプ政権の11月大統領選での再選をにらんだ現職の大きな外交戦略だ。そして、さらにもうひとりの側近による外交手腕と思えるのが、いま焦点の東欧チェコのミロシュ・ビストルチェル上院議長率いる代表団の、台湾への訪問の実現ではないだろうか。何しろ台湾と外交関係がないチェコ代表団の訪問は、中国が掲げる「一つの中国」への挑戦だったから。
台湾立法院で、チェコ政界ではミロシュ・ゼマン大統領に次ぐナンバー2のビストルチェル上院議長が、「わたしは台湾人です」と演説したことは、冷戦さなかの1963年、西ベルリン(当時)での、ケネディ米大統領の「私はベルリン市民だ」演説を世界に思い起こさせた。中国は内心驚愕した様子だったことが、中国外務省のこれに警告・抗議する報道声明からも読み取れる。
わたしがこの仕掛け人とにらむ、トランプ大統領のもうひとりの側近とは、クシュナー大統領上級顧問の妻、すなわちイバンカ・トランプ大統領補佐官だ。言うまでもなく、広く知られたトランプ大統領の娘。しかもそのイバンカ補佐官の母(大統領の元妻)イバナさんはチェコ出身で、実業家の経歴がある、かつての母国チェコにも、幅広い人脈を持った女性だ。
ビストルチェル上院議長率いるチェコの代表団90人は、8月30日から5日間の日程で台湾を訪問している。その2週間前には、1979年に米国が台湾と断交して中国と国交を樹立後、最高ランクのアレックス・アザー米厚生長官が台湾を訪問している。これは米・チェコが水面下で連携した、中国の「一つの中国」、台湾孤立政策への揺さぶり、挑戦とみるべきではないだろうか。すなわち米トランプ政権の対中戦略の見直しの一環だ。(つづく)
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山田 禎介 2020-09-03 20:40
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