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2007-10-01 22:20
連載投稿(1)「実務型」福田内閣の強さゆえの危うさ
角田勝彦
団体役員・元大使
9月26日発足した福田内閣は、マスコミ各社の緊急世論調査で60%弱の支持率を得て、まずは順調な滑り出しを見せた。閣僚の大半を留任させたことにも、事実上の派閥復活との批判はあるが、評価するとの意見の方が多かった。国民は、安倍前政権が突っ走ったあげくぽっきり折れた頼りなさに閉口して、安定とバランスを求めたようである。もっとも小泉政権以来の劇場型政治への欲求は薄れたわけではなかろう。マスコミはこの欲求をあおるように針小棒大、唯我独尊、野次馬的先走りの傾向をますます強めている。なったばかりの福田首相に解散総選挙の意向に関する質問が浴びせられたのには驚いた。
福田首相は、冗談と言いながら、新内閣を「背水の陣内閣」と定義した。「一歩でも間違えれば自民党が政権を失う可能性がある」との危機感に基づく由だが、背水の陣は守りに強い。至近に国会で対立しそうなテロ特措法問題についても要職の布陣は強力である。国連安保理の感謝決議採択や9月27日米英独仏など11か国駐日大使が給油活動継続を求めた声明発出もあり、最近の世論調査では海自の給油活動継続への賛成が反対を上回った。さらに、安保理感謝決議が給油活動を認める根拠にならないとして継続に反対を続ける民主党の対応に「納得できない」(47%)が「納得できる」(38%)を上回った(9月27日付『読売新聞』)ようで、小沢民主党は苦しい立場に追いこまれているようである。与党攻撃を続けるのには別の問題にした方が得に思われる。協議で妥協の道を求めるのが常識だろう。
さて、福田首相は実務型とされる。9月12日安倍前首相の突然の辞意表明からわずか2週間で首相になったわけだから、政治家たる者云々の建前論はともかく、明確なビジョンを提示するのが困難な事情はわかるが、心配なのは、新内閣がこのまま懸案対応・実務処理型を続けると、世界における日本の地盤沈下がますます進むということである。(つづく)
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連載投稿(1)「実務型」福田内閣の強さゆえの危うさ
角田勝彦 2007-10-01 22:20
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連載投稿(2)福田内閣は外交ビジョンを提示せよ
角田勝彦 2007-10-02 11:11
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