このように、今次首脳会議は、第二次大戦来の独仏を中心とするNATOをめぐるしがらみが解きほぐされたかたちでの開催となった。冷戦期には鉄のカーテンの向こう側にいた東欧諸国も次々にNATO加盟を果たしており、今回新たにアルバニアとクロアチアの加盟が承認されることとなる。先に触れた「Keep the Americans in, the Russians out, and the Germans down」のスローガンのうち、「Keep the Russians out」については、いまだ問題解決とは言いがたいが、多くの懸案を抱えつつも、少なくともNATOとしては、ロシアを「締め出す」ことにより事態を膠着させようと望んではいないようである。昨年のグルジア紛争以来活動が停止していた「NATOロシア理事会」も再開される見通しである。