こうした当初の認識は、オバマ政権に共通したものであった。日本のメディアは大げさに危機を煽っていたが、オバマ政権は比較的冷静に対応しようとしていたことは間違いない。オバマ大統領のアジア歴訪の前の2009年11月6日に民主党系のシンクタンク・ブルッキングス研究所で行われたシンポジュームで、国家安全保障会議のアジア担当部長で大統領の特別補佐官であるジェフリー・ベーダー氏が講演を行っている。なお同氏は、オバマ大統領のアジア歴訪の随員として大統領と行動を共にし、オバマ大統領に直接アドバイスを行っている。講演の中で同氏は、「アメリカはアジア太平洋の国家である。東アジアの国はアメリカとの同盟関係を支持しているが、同時にアメリカの軍事的な存在を軽減し、より対等な関係を望んでいる。それが日本と韓国で米軍を再編成している理由である」と語り、日米関係に関しては、日本は東アジアのアメリカの安全保障の要石であり、今後もそのことに変わりはないと指摘する一方、「日米関係は当たり前だと考えるようなものではない(the relationship with Japan is not one which we can take for granted)」と語っている。さらに「日米安全保障条約を結んで50年経ち、世界は変わった。アメリカは変わった。日本は変わった。鳩山首相の日米関係を見直そうという主張は、日米同盟を新たなものにする重要な一歩として、私たちは歓迎する」と述べている。(つづく)