まずBSAについて簡単に述べ、そしてロヤ・ジルガがBSAを承認したにもかかわらず、なお交渉手続に不満を述べるカルザイ氏の真意は何なのかを検証したい。BSAは、「アフガニスタンとアメリカの間の持続的な戦略パートナーシップ合意」(Enduring Strategic Partnership Agreement between the Islamic Republic of Afghanistan and the United States of America)の一部である。この合意は、両国関係の長期的な枠組みとして2012年7月4日に発効した。「戦略パートナーシップ合意」の下では、アメリカが開発援助を供与し、教育、医療保険、地域協力などの社会経済改革のために統治の助言を行なうとされている。しかし2014年の兵員削減後の米軍の地位やアフガニスタンにおける米軍の長期的なプレゼンスは、この「戦略パートナーシップ合意」では述べられてない。よって、アメリカとアフガニスタンは2012年11月15日にBSA交渉を始めた。アメリカとアフガニスタンの両国とも「アメリカはアフガニスタンの主権を尊重し、アフガニスタンの隣国に脅威となるような米軍の恒久的な軍事的プレゼンスは要求しない」ことを強調した。兵員は削減されるものの、米軍は依然として活発なテロリストや反乱分子との戦闘を続けるアフガニスタン治安部隊を支援するものとされている。