他の時代と比較してみよう。1970-80年代は『Japan as Number One: Lessons for America』(1979)が示しているように、経済的には日本は米国をも脅かすような強力な大国になった。しかし当時でも政治的には日本の国際的な存在感は、経済力とは全く不釣り合いに小さかった。その後も、日本の首相は短期間で次々交代して、国際的にもほとんど知られず相手にされなかった。発展途上国や国連、国際機関が日本を重視したのは、その経済力、資金力ゆえだった。ただ1990年代初めのバブル経済崩壊後の「失われた20年」以後は、経済的には日本は以前とは正反対に、「反面教師」と国際的にみなされる時代がやって来た。そのような時代にもかかわらず、安倍首相は国際社会で長老としての相当の発言力と存在感を示した。このことは正当に評価して良いと思う。(つづく)